2024
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07
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桑原:今回のテーマにふさわしい方として、株式会社QunaSysのCOOである松岡さん、京都フュージョニアリング株式会社のCOOである世古さんにお越しいただきました。お二人ともディープテックスタートアップにとって非常に重要かつ難度の高い事業開発というポジションでご活躍なさっていますし、本日のテーマであるオープンイノベーションという観点では、大企業との協業に向けた大きな戦略を描くところから、実際に協業シナジーを具体化・実行するところまで含めてご担当されていらっしゃいますので、さまざまなご経験、ご苦労についてお話いただけるものと期待しております。
それでは早速ですが、お二人から簡単に自己紹介と会社のご紹介をお願いします。まずは、京都フュージョニアリングの世古さんからお願いします。
世古:京都フュージョニアリングの世古と申します。取締役COOを務めております。私は大手総合商社で10年ほど事業開発やスタートアップへの投資などを経験した後に、ベンチャーキャピタル(以下VC)のCoral Capitalでディープテックスタートアップへの投資をしていた経験があります。その中で、ディープテックの面白さに気づき、こうした技術が日本の将来を支えていくと感じてスタートアップ側に飛び込み、いまに至ります。
我々が取り組んでいるのは核融合という領域です。50年後、500年後、あるいは1,000年後、1万年後に、人類が生き残っていくために必要なエネルギー源は何でしょうか。私たちがたどり着いた答えは核融合エネルギーでした。
核融合の特徴は、温室効果ガスを発生しないこと、海水から燃料を無尽蔵に取り出せること、原理的に危険性がほぼないこと、高レベル放射性廃棄物が発生しないということにあります。地上の太陽と言われていますし、人類の知の結晶でもありますが、とても難しい技術でもあります。国も核融合の支援に向けた動きを本格化させています。
日本だけでなく、米国も核融合の開発プログラムを発表しております。米国には、有名なCOTS(Commercial Orbital Transportation Services)プログラムという宇宙産業での成功事例があります。公的な存在であるNASAとスタートアップのスペースXの組み合わせによって、宇宙開発を一気に促進する成果に繋がりました。NASAとスペースXの関係は、大企業とスタートアップの文脈に近いのですが、それを核融合分野にも当てはめ、いくつかの企業をピックアップした後に、最初は50億円程度、その後100億もしくは1,000億円という資金を拠出していくマイルストーンプログラムが動き始めています。
英国も同じような形で1,000億円以上の資金を用意して、核融合の産業化を進めている状況でございます。
世古:原子力は、ウランやプルトニウムなどの重い原子が分裂するときに出る核分裂のエネルギーを利用します。核分裂は一度反応が起こってしまうとそれが連鎖的に起こるので、福島第一原発事故のようにメルトダウンが起こってしまう可能性があります。
一方で核融合は、軽い元素である水素(重水素や三重水素)を衝突させることで生まれるエネルギーを利用するものです。元素同士をぶつけることがとても難しいことから、事故が起こることはないと言われています。
南フランスで約3兆円をかけて行われているITER(イーター)プログラムは、世界7か国が参加するプロジェクトです。巨大なシステムであり、かつ国際協力の枠組みのため、長い時間をかけて慎重に進められています。それと並行して、近年では民間の核融合スタートアップが40〜50社出てきており、よりリスクを取ったチャレンジを行っています。
中でも米国、英国、ドイツが先行していて、日本では、京都フュージョニアリングをはじめ、レーザーを利用したEX‐Fusion、ヘリカル型のHelical Fusionの3社が核融合に取り組んでいます。また、最近では、ノーベル賞を取られた中村修二先生が新しくBlue LaserFusionを米国で立ち上げられています。このように核融合の世界が盛り上がっていまして、過去5年間で約6,000億円がこの領域に投資されています。
我々も、今年の5月に総額105億円の資金調達を発表しました。JIC VGIをリードインベスターとして、INPEX、三井住友銀行、商船三井、関西電力、JAFCO、DBJキャピタル、日揮、三菱商事、三井物産、三菱UFJ銀行など、そうそうたる日本の大企業・投資家の皆さまも含めてサポートいただいているところです。会社のメンバーとしては、小西哲之がCEOを務めて、私がCOO、坂本慶司がCTOとして経営に関わっています。小西と坂本はアカデミアや研究機関で技術開発をずっと進めてきており、この二人の技術を中心にビジネスを展開するのが我々の会社の強みです。
世古:多くのスタートアップや世界的な公的機関は、プラズマ反応をどう起こすかに取り組んでいます。一方でこの核融合をエネルギーとして取り出す方法や、燃料のサイクル方法など、プラント全体を考えていく必要があります。この核融合全体ですとおそらく1機あたり5,000億円から6,000億円のプラントになると思います。我々は、そのうちの2割、3割くらいを担う重要なキーコンポーネントを開発しています。これはジャイロトロンと呼ばれる装置ですが、1本あたり数億円の後半台です。この装置は、いろいろな日本のサプライチェーンの方々にお世話になって作っている装置です。キヤノン、京セラ、JASTECをはじめ、30社を超える方々の技術の結集として装置が成り立っていて、我々はすでに海外の顧客4社から数十億円の受注を獲得しています。
このように日本のサプライチェーンの皆さまのお世話になりながら、日本の技術を世界に届けるビジネスを展開しています。他にも、京都の久御山で建設を進めている施設では、世界で初めて核融合反応を模した形で、そこから熱を取り出して発電をしたり、水素を製造したり、カーボンクレジットをそのまま作る取り組みを進めています。これは2025年末には形になる予定です。
加えて、カナダのチョークリバーにあるカナダ国立の原子力研究所と提携を結び、そこで少し難しい元素の取り扱いを行う計画です。
核融合は、現在すでに5,000億円の市場があります。近い将来、核融合が商業化(実装)されると90兆円〜150兆円ともいわれる大きな市場となります。我々がファーストメンバーとなって飛び込んで市場を切り開き、海外に打って出ることで日本のサプライチェーン全体を活性化できる、もしくは自動車産業に続く新しい産業を作れるのではないかと思い、取り組んでいるところです。
桑原:ありがとうございました。非常にわくわくする話でした。
続きまして松岡さん、自己紹介と会社のご紹介をお願いします。
松岡:株式会社QunaSysの松岡と申します。私はQunaSysのCOOとして主に事業開発を担当しております。もともとは材料化学の分野でPh.D.を取り、その後コンサルティングファームで10年くらい、イノベーション戦略やR&D戦略に取り組みました。ちょうど量子コンピュータというキーワードが聞かれるようになったタイミングでした。個人的にも興味があったことから、QunaSysが、株主であるANRIのインキュベーション施設で、まだ1人か2人で量子コンピュータの研究をしていたときに訪問しました。そのときの打ち合わせテーブルが卓球台で、面白そうだと思いジョインすることになりました。それから4年ほどたちましたが、苦戦しながらも日々楽しくやっております。
QunaSysは、2018年に東大在学中のCEOが設立した会社ですが、技術顧問になってくださった先生はほとんど大阪大学の先生方なので、何々大学発という言い方はしていません。QunaSysには50人のメンバーがいて、半分がPh.D.で、8割ぐらいが技術者という研究開発型スタートアップです。
コーポレートミッションは、「Maximize the Power of Quantum Computing」を掲げています。
量子コンピュータの開発といっても、QunaSysは量子コンピュータそのものを作るわけではありません。いまある量子コンピュータの力を最大限活用できるアルゴリズムやソフトウェアを作ることをミッションとしています。具体的には、量子コンピュータ上で動くソフトウェア、その中でもアプリケーション化が早いといわれている化学分野のアプリケーションに注目して、ソフトウェアやアルゴリズムを開発しています。
とはいえ、将来的にはHHLアルゴリズムを使い線形方程式を解く、つまり流体シミュレーションや電磁波シミュレーションといったCAEの領域での用途が大きくなると思いますので、長期的にはそれを見据えながらも、短期目標として量子化学計算といわれる電子の精密な計算を行うアプリケーションに着目し、そのソリューションの開発を進めているところです。
松岡:その一方で、私たちは量子コンピュータに興味がある方に、量子コンピュータがこういう原理で動いていてこういうことができるということを学んでもらう場を提供しています。それがQPARC(Quantum Practical Application Research Community)という、弊社独自のコミュニティです。50社くらいに参加していただいていますが、教育プログラムや量子コンピュータで遊んでみるプログラムなどを提供して、どう使えるかを一緒に考え、次のステップとしてどういったユースケースがあるかを弊社のソフトを使ってテストをしていただいています。そして、将来的に使えそうだと考えてくださった企業とはジョイントリサーチをしています。
私たちは、QURI、QURI Partsといったソフトウェアをツールとして提供しております。現在多くの企業とコラボレーションをしていて、投資家としては、JIC VGIをはじめとするVCのほか、富士通、日本ゼオン、三菱電機といった事業会社にも出資をいただいており、そういった企業の皆様とは共同研究などの取り組みも実施しています。昨年は米国のIBMから出資をいただき、密に連携しております。足の長い開発となるため、その他にもアカデミックやガバメント、特に内閣府や文科省と連携させていただき、サポートをいただきながら取り組みを進めています。
量子コンピュータは大きな話題にはなっていますが、実はキラーアプリケーションがまだ見つかっていないという現実があります。量子コンピュータは面白い、わくわくするといったモチベーションから関わっていただくケースが多かったのですが、やはり企業としてはアプリケーションがないと量子コンピュータの活用は、予算を通しにくいという話もあります。弊社としてもその課題は感じていたので、SDQs(Sustainable Development Goals to which Quantum Technology can Contribute)の取り組みも始めました。SDGsというサステナビリティの文脈で量子コンピュータがどのように貢献できるのかを考える取り組みです。これは、QPARCのスピンアウトとして行っていますので、面白い取り組みになっていると思います。併せてご検討いただけるとありがたいです。
桑原:松岡さん、ありがとうございました。こちらも非常にわくわくするお話をしていただきました。今日のテーマは、オープンイノベーションですので、いくつかのトピックについてお二人からコメントをいただきたいと思っております。
最初にお伺いしたいのは、両社もしくはディープテックスタートアップにとって、オープンイノベーションの重要性はどこにあるのでしょうか。それぞれご説明の中で大企業や研究機関とコラボレーションしながら事業を進めているとご説明いただきましたが、そのあたりについて、世古さんからお話しいただいてもよろしいでしょうか。
世古:ディープテックにとって、オープンイノベーションは必須であり避けて通れないと思っています。対顧客という意味でも、to Cというよりto Bやto G(Government)という文脈が大きいので、スタートアップが深い谷を渡ってマーケットに届けるために、ディープテックとオープンイノベーションは相性がいいと思っています。
京都フュージョニアリングは、過去30年、40年にわたり日本が培ってきた基礎研究、応用研究、もの作り技術、産業技術を海外に持っていけるところが強みです。我々には、海外ではできない技術、日本でできる技術のすみ分けが見えているし、日本はどの技術が強いのか、マーケットとしてどこが面白いのかをよく分析して事業を組み立てています。ディープテックスタートアップにとって、オープンイノベーションは切っても切り離せませんし、京都フュージョニアリングはそのど真ん中を進んでいるので、皆さまと一緒にこの日本の技術を海外に持っていく事業を展開していきたいと思っております。
桑原:ありがとうございます。オープンイノベーションは必須であるということと、それから日本がこれまで続けてきた研究、もの作りのサプライチェーンをスタートアップがうまく活かして事業をグローバルに展開しているというお話をいただけたと思います。
松岡さん、QunaSysでは大企業を集めての取り組みの話が出てきましたが、QunaSysにとってのオープンイノベーションの重要性はどんなところにあるとお考えでしょうか?
松岡:ディープテックが事業として成り立つためには、しっかりと産業価値を発揮して、社会のこの部分にこうフィットするということを示すことが必要であり、それこそがスタートアップの役割だと思っています。
これは、技術をもつスタートアップだけでは絶対にできず、大企業等との連携は必須だと思っています。量子コンピュータが今後進展して、例えば製造業の開発現場で活用できるようになったとしても、量子コンピュータがどう活用されるかはそれほど自明ではないと思います。その意味で、こういう使い方をしていくのが良くて、そうすると開発がこう変わりますといったことを考えていかなければならないことになります。そういったことをオープンイノベーションで見つけていくことが大事だと思っています。
桑原:ありがとうございます。最先端の技術の産業価値を証明していくことがスタートアップの役割であって、そこを企業の皆さまと連携しながらやっていくことが重要であるというお話をいただきました。
桑原:いまの話の流れで、松岡さんに次の質問もお伺いできればと思います。ディープテック領域でのオープンイノベーションを推進するのは、いろいろな難しさがあり、例えば技術そのものが理解されづらいとか、すぐに売り上げや業績には繋がりにくいという面があるかと思います。どんなところに難しさを感じ、その中でどう難しさを乗り越えたのか、お話しいただけますか。
松岡:日々苦戦しています。もともとコンサルにいたので3,000万円くらいのプロジェクトはごく普通に実施してきました。QunaSysに入ってもそれくらいの規模の共同研究はすぐにまとまると思ったのですが、そう簡単ではなく、その理由も当時はわかりませんでした。価値はあるし、興味をもってくださるし、個人的にはすごく応援しているよと言われながらも、なかなか案件として立ち上がらないケースが多くありました。
おそらく、量子コンピュータが研究開発の投資ロジックの中で弾かれてしまうのだと思います。それは時間軸であったり、アプリケーションの明確化であったり、いろいろな理由があると思います。ディープテック側もスタートアップも、その難しさを理解して社会とコミュニケーションしていくことが大事だと思っています。
桑原:なるほど、ありがとうございます。確かに時間軸という意味では、長い目で考えなければならないことから、現場レベルでは限界があって、先方がトップも含めて重要性を理解していただきながら取り組んでいくことが重要というお話だったかと思います。
世古さんは、オープンイノベーションを進めていく上での課題、難しさはどんなところに感じられて、どう乗り越えてきたのでしょうか。
世古:ひとことで言うと、「距離感」のようなものだと思っています。つまり、オープンイノベーションといいつつ、どこまでオープンにするのかということですね。ディープテックの領域は知財の塊でもあり、ノウハウの塊でもあり、まさに事業会社の方々、大企業の方々が狙っているところもあります。我々として戦略的に大事なところは守りながらも大企業の皆さまにサポートしていただく座組みをする「距離感」が非常に大事だと思っています。
大企業が我々のようなスタートアップに興味があるのは、技術で最先端をいくこともありますが、それを通じたビジネス開発にあるのだと思います。我々は独自の技術に取り組みながら、大企業にとっても意味のある部分を持っていってもらう。でも一番美味しいところは我々としては逃してはいけない。こうした点についてはオープンな議論が必要だと思っています。例えば最初のミーティングから意思決定者が入ることもキーだと思いますし、次のアクションプランを決めるなどのチェックポイントを作っていかないとオープンイノベーションは進まないと思います。
桑原:ありがとうございます。距離感が非常に重要というお話をいただきました。次にお伺いしようと思ったことに関わるかもしれないので、続けて世古さんにお伺いします。
桑原:大企業がオープンイノベーションに取り組むスタートアップと連携するときに、スタートアップへの出資を通じて取り組んでいくケースが増えていると思っています。
協業において出資を伴うこと、資本業務提携といった形を取ることは、スタートアップ、大企業それぞれにとってどんな意義や効果があるのでしょうか。
世古:大企業との連携方法として、資本提携と業務提携、それを両方やる資本業務提携とがあると思います。資本業務提携になると普通の業務提携よりも、お互いの意識が高まったりコミットメントが強まったりするという意味で、非常にいいと思います。スタートアップが一番困るのは資金ですから、資金を伴った上での業務連携は嬉しいと思います。
一方で、特定の企業の色がつき過ぎないようにも気を遣っています。
桑原:お互いにコミットメントを示すという意味で、資本関係をもつことは重要であり、一方で特定の会社の色がつきすぎてしまわないようにすることがスタートアップ側にとっての注意点ということですね。ありがとうございます。
松岡さんのご説明で株主の中に事業会社の名前がありました。こういった資本関係を伴うことによってプラス、マイナスの両面があると思いますがいかがでしょうか。
松岡:資本提携と業務提携の違いがよくわからなくなることがあると思います。私も大企業の皆様とお話をしながら、混乱することがあります。最近思いついたいい例があるのですが、資本関係を持つということは「トヨタの株を200万円買う」ということと同じではないかと思っています。トヨタの株を200万円買ったからといって、プリウスがついてくるとは誰も思わないでしょう。でも、株を買った人がプリウスを買う確率は高いし、トヨタを応援する確率も高いといます。
資本提携で参画していただけると、自分事として考えていただけると思っています。資本提携している会社はQunaSysの事業について真剣に考えてくださいますし、一緒に何かやろうという話も、会社として進めやすくなっています。特にディープテックのような長期的で戦略的な意思決定が必要な案件に対しては、資本業務提携という形でコラボレーションしていくのがお互いにとっていいと思っています。
桑原:なるほど。確かにトヨタの株を買う比喩はおっしゃる通りで、ともすると出資したのだから言うことを聞いてほしいといった感情を抱いてしまうところもあるかと思いますが、関係性としては少し違うというお話ですね。お二人の話をお伺いして、やはり資本関係が伴うことの意義が非常に大きいことが理解できました。
桑原:最後の質問ですが、オープンイノベーションにおいて我々VCが果たすべき役割と今後への期待についてひと言いただければと思います。世古さんからお願いします。
世古:私はVCで働いた経験があります。そのときには、投資だけではなくてスタートアップの事業開発支援や大企業のオープンイノベーション支援もやっていました。それは、スタートアップの初期は、数百社ないし1,000社の方々と会うことはできませんし、そのコネクションもないからです。その点、VCはスタートアップを100〜200社抱えていて、かつ大企業との接点もあります。ですから、両者のマッチングをVCが担うのは重要だと思います。大企業の視点からいくと、スタートアップは玉石混淆でしょう。そのため、いったんVCを通して、自社技術に近い領域、自社事業に近い領域のスタートアップを探すことはショートカットになると思います。JIC VGIの事業開発の方々も先ほど会場にいらっしゃったので、マッチングをされていたのかと認識しています。
桑原:ありがとうございます。マッチングできるように頑張っていきたいと思います。松岡さんはいかがですか、VCに期待すること、実際の例があればお願いします。
松岡:スタートアップからVCに期待していることとしては、事業開発の支援があります。その関連で、お客様を紹介してくださることに一番期待しています。一方で、VCの業態的に、どうしても期限があるので、それがディープテックの時間軸に合わないことも多くあります。VCでは投資しづらいところを、政府系のファンドに補完いただくのがあるべき姿だと思っていますし、そういう文脈で出資をいただいているので、すごくありがたいと思っております。
桑原:ディープテックの時間軸が、なかなか投資家の時間軸と合わないことも往々にしてあって、そのあたり今後改善の余地があるというお話を伺いました。
さて、お二人からはディープテックスタートアップにとって、オープンイノベーションは重要であり、むしろ必須である、ただ、大企業側とスタートアップの時間軸の違いですとか、距離感をどれくらい密にすればいいのかというところも重要なファクターだという話も伺えました。その中で、議論の最初のタイミングから大企業側から意志決定者が出てきてくれるようだとスムーズに進みやすいというコメントもいただきました。それから資本提携を通じてお互いのコミットメントを高めるために効果的という話もありました。貴重なお話をありがとうございます。最後にお二人から会場の皆さんにメッセージがあればと思いますが、世古さんいかがですか。
世古:私は海外を飛び回って顧客を開拓していますし、海外の投資家ともよく会うのですが、海外の人たちはいま日本にすごく注目しています。お金の面でもそうですし、もの作りや人材というところもそうで、やはりその根幹を支えていただいているのは大企業の皆さま、その背後にいらっしゃるアカデミアの皆さん、学術機関、大学だと思います。ディープテックスタートアップが成果をあげていかないと、10年後、20年後の日本が危ないかもしれません。ディープテックスタートアップの成功は、大企業の皆さまの力にかかっているので、どうぞよろしくお願いします。
桑原:松岡さんいかがでしょうか?
松岡:量子コンピュータが社会にどうフィットするかを模索している段階にありますので、本日のお話を通じて量子コンピュータに少しでも興味をもってくださる会社がいらっしゃったら、一緒に考える仲間になっていただけるとありがたいと思っております。
桑原:ありがとうございました。
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